iBS外語学院40周年記念実行委員会

「父として、学院長としての南徹」

編集長からいきなりメールで卒業生に依頼が届く「RELAY COLUMN」。今回は21期卒業生の南里奈へ執筆のお願い。娘として、卒業生として学院長への思いがアメリカより届きました。

Words: 南“Rina”里奈

院長、40周年おめでとうございます。

学校設立してからこんなに時が過ぎたとは思えません。院長が、こんなに長く続けられたのも沢山の生徒さん、スタッフそしてご父兄の皆さまのご協力があったからではないでしょうか。

私は、院長の娘、南里奈です。私も半年だけでしたが、IDの時代生徒としてスタッフの方々から学んでいました。父が、家に仕事を持ち込む事は一切なかったので子供ながら何をしていたかは良く分かりませんでした。しかし、小さい頃から学院と共に育った気がします。

騎射場に学校があった時代、近くの手作りハンバーグを買って兄と弟と食べていた記憶があります。祝日となると、スタッフのご実家のお祭りに参加させてもらったり、釣りやスノーケリングに行き、父の教育プログラムの基礎をこのころしていた気がします。また、ハローインパティーにも子供ながら意味も分からず参加させてもらいました。

紫原から星ヶ峯に引っ越しした時も、父に借りだされた生徒さん(本当にお世話になりました)に引っ越しを手伝ってもらいました。

勉強家の父は、金曜日9時の映画は必ず英語で見ていました。そして何か秘密があると母と二人で英語で会話。当時は、全く意味がわかりませんでしたが今では秘密どころかすべて筒抜けです。勉強家と言いましたが、本当にそう思ったのは中学、高校になってからです。スピーチを書いていたり、本を読んでいたり。自然好きの父ですから、NHKで放送されるネイチャリングスペシャルは必ず録画。今でもそれは変わりません。実家に帰るたびに見せられる事もあります。

何時から始まったのか、父が生徒を合気道道場に連れていくようになりました。その日、父が帰ってすぐに合気道で習った組み手を練習台に私に仕掛けていました。初めは、何が始まるのかわからず受けていましたが、今では手を貸してと言った瞬間に逃げています。何故、兄や弟じゃなかったのか未だに不思議に思います。

この環境で育ったおかげで、私も英語を勉強したいと思うようになりました。IDに入学したのも、すでにオーストラリア行きを決めていたのでその準備としてだったような気がします。そして、オーストラリア・パース、アメリカ・サウスカロライナ、フローレンス、サンタモニカと留学をさせてもらいました。父のように英語が堪能にはなりませんでしたが、ある意味世界の良いとこ悪いとこ、一人でどう生きるか、コモンセンス、そして日本人と日本の文化がどれだけ良いかを学んできました。

父が、2005年秋に癌の告知を受けたことを母から告げられました。娘ながらショックは大きかったのですが、それ以上深く父と話す事はありませんでした。手術当日、仕事を休み病院で母、叔父、そして父の叔父と一緒に手術が終わるのを待ちました。主治医が出てきて、癌のあった甲状腺を見せてもらいました。癌は、拳より少し大きくびっくりしたのを覚えています。翌日に父に会いに行きましたが、何故か危機感と言うものが感じられませんでした。この時からいつも父に言ったことは、“風邪だと思ってすぐに「後藤散かぜ薬」を飲まないで”です。今は、身近にいないので飲んでいるのか、いないのかは定かではありませんが。ある意味、仕事が忙しくて病院に行く時間がないのでしょうが、古希を過ぎたのでお願いだから何かあったら病院へ。(皆さんも気づいたらどんどん言ってください。お願いします。)

そんな手術を終えた状況で、翌年私は結婚が決まり結婚の四ヶ月前にアメリカに渡航しました。父の事は心配でしたが、頑固で気の強い父から弱音よりがんばれの言葉をもらいました。父も母も、どんな事があっても自分の一番の応援団です。今でも、私が弱音を吐くと色々な助言をしてくれます。

最近、よく思うことですが今の主人を見ていて、私は父親と結婚したんだなって思います。色々な帽子を買うこと、自然が大好きなところ、歴史に興味あるとこ、そして日本をこよなく愛するところ。そして、今自分が母親となり娘に日本語を教えなければいけない立場になり、父から学んだ事を思いだしながらやっております。親になって初めて自分の親の偉大さに気づくこの頃です。

最後になりますが、これからもわがままな院長をスタッフの皆さまよろしくお願いします。生徒の皆さん、院長から沢山学んでください。そして、ご父兄、卒業生の皆さまのサポートを重ねて心より感謝申し上げます。

Rina Minami Barlows :21期卒

ID外語学院を卒業後、オーストラリアやアメリカと留学。その後結婚し、カリフォルニアにて一児の母として暮らす。

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