2016年11月8日、史上まれにみる盛り上がりを見せたアメリカ大統領選挙。
その夜、私は23期テリー小原とSan DiegoのButcher Shopステーキハウスで食事をしながら、後ろで流れる選挙番組に耳を傾けていた。
「トランプが勝利したら面白いけど、まー、それはないだろうね」と、笑いながらの食事。バーカウンターに座る客や従業員は、各州の当選結果に一喜一憂し異様な盛り上がりになっていった。
手洗いから帰ってきたテリーが「これまさかが起こりそうだよ」と、2人で笑いながら携帯で投票結果をみていると、トランプは選挙代理人の少ない中西部から東部の州を確実に取っていたのだ。
その後、Kitty俣江と合流をして、喫茶店に入った午後10時ごろにはトランプ大統領ほぼ当選確実になっていたのだ。
その時、報道各社は良いも悪いも極端な論調を述べていて、日本の似非報道と違い、報道各社が支持する党派の意見を交わしているのは、大変面白かった。
大統領就任式から早3年。
数々の発言で世界中の注目を浴びる大統領の発言や行動、2020年に入ってからは、あのクリントン大統領以来の弾劾裁判も始まり、弾丸ダボス会議訪問など相変わらずパフォーマンス満載である。
歴代大統領と比べパフォーマンス感が強すぎる様に感じ、評論家、そして20年の大統領候補者らはトランプへのネガティブキャンペーンを行っているが、低失業率、株価上昇を見ると好成績なのだ。まさに、Make America Great Againを3年程である程度成し遂げている。
ところで、直近の米中貿易戦争は、我々飲食業者にはかなりの痛手ではあった。
元々6％の輸入関税に追加分の15％を加えた21％の関税がかかる事になった上に、同じ時期にアジア圏の養殖業者で良く使われている抗生物質をFDAが危険薬物に分類して、冷凍鰻等が港から荷下ろしされない事態が数か月も続き、鰻の価格は3倍程に値上がりした。
飲食業界では簡単にメニューの値段を上げるわけにはいかず、レストランへの直接の負担となるので、レストランによってはサーチャージとして6％程支払い時に客へ請求する店も出てきた。追加関税後の株価等の調子が良かったので、私の店は薄利多売ではあるが、ある程度の売り上げアップになっていた。
トランプは常々、カリフォルニア州知事や議員に対し、牙をむいた口撃を仕掛けている。
現在のカリフォルニア州知事らは、ラテン系の多い有権者の票取りばかりを考えているので一般従業員らへ有利に働くよう強制有給休暇、最低賃金の上昇を進めている。最近では、大手飲食業者はカリフォルニアから離れて他州への新規開店に重点を置いているという状態。
オバマ政権時に立法した、Obama Care（国民皆保険）は、従業員を守る様な法案に見えて、いざ始まったら従業員は週30時間以下のスケジュールに削られ、結局は仕事を掛け持ちして、労働時間は増え事業主によっては、これまで以上の負担を強いられる事になってしまった。
このObama Careをトランプ氏はなくし、新たな経済対策を2期目に設定してAmerica Firstを今年の選挙にも設定している。しかし、他大統領候補は、トランプ氏に対するネガティブキャンペーンが目についてしまい、結局候補者の政治目標がはっきりと見えてこず、トランプ有利に働いている。
私の住むサンディエゴは、メキシコ国境沿いの街なので、トランプ大統領が掲げた国境沿いに壁を作ると言うのが就任以来、ニュースでよく取り上げられていた。建設業界は、壁の修復や建設等で、この街に限って言えば、他の都市より好景気である。
今年の大統領選挙も目立つ候補者がいないので、トランプ2期目突入へという雰囲気がすでに各方面で言われている。トランプ大統領に全て賛成というわけでは無いが、アメリカでビジネスをするうえで、景気が良いに越した事はないので、国家運営ビジネスマンまたエンターテイナーとしてのトランプ政権2期目をみるのも、面白いのかなと思っている。
Noriyuki “Matt” MORI：２２期卒
1974年生まれ。iBS卒業後、アメリカへ。サンディエゴをベースに学業を終え、現在南カリフォルニアにて鉄板焼レストランSHOGUNグループの副社長に就任。「副社長なのに、なぜか会社で一番忙しい人」（テリー小原談）。iBS被害者友の会（通称：iBS南カリフォルニア支部）の発起人の一人。https://restaurantshogun.com/
