iBS外語学院40周年記念実行委員会

「情報はウィルスより速い」― KONA 編集委員 幸野 稔

COVID-19の発生以降、ニュース番組やネットのニュース記事を見る時間が増えた、という方も多々いらっしゃるのではないだろうか。あるいは、FacebookやTwitter、LINEといったSNSやメッセンジャーで関連する話題を目にしたり、自ら発信する機会も。無数の情報が飛び交い、有象無象も十把一絡げにあらゆる方向から押し寄せてくる。どうすれば、自分に必要な情報を見抜けるのか、どうすれば正誤を見抜けるのか、KONAの編集委員として少し考察してみたい。

Photo/Text: Minoru Albert Kono

理屈はいいから、まずは皆様にとって役に立つものを出さなければならない。以下は、自分が見た中で最もわかりやすく手を洗う時の動きを視覚的に説明した動画だ。実際は石鹸で行うのだけれども、動画では洗われた部分が黒くなっていく。あとは実際に手を洗うときに、この動きを真似するだけだ。

手洗いと同様に言われている、手で顔を触らないことなどの重要性は、ここから自然と理解できる。とりあえずある程度、ウィルスから物理的に身を守る方法を身に着けたら、次は溢れる情報から身を守る方法を考えてみたい。

こうも情報が飛び交っていると、とにかく耳や目に飛び込んできた情報に気が向きがちだが、そういった情報に限ってセンセーショナルな形式で不安を覚える。情報の不明瞭さや不確実さから来る不安だ。ここはパッシブではなく、あえてアクティブに信頼できそうなソースから当たってみるのがいい。

米国の総合病院、Mayo Clinicの動画だ。先程の動画よりも専門的に手洗いの重要さを説いてる部分はやや難しいが、COVID-19はウィルスであるので抗生物質は効かないこと、ネットで言われているような体に漂白剤を付けるような行為は危険であるからしてはいけないこと、が白黒ハッキリと述べられている。何が世の中に広まっているのかを理解する土台に丁度いいかもしれない。

せっかくiBSで比較文化を学んだので、他の国のソースも当たってみるべきだろう。The University of Queenslandの動画では、更に広くより一般的な情報をカバーしている。

COVID-19の姿が見えてきたら、次は更に範囲を広げて社会的・国際的な影響に目を向けるか、あるいは身の回りへの影響に注目するかは、生活スタイルや職業などで人それぞれの選択肢があるところかもしれない。ここでそれら全てをカバーすると、それこそ情報のオーバーフローだ。そこで、もう少し一般的な範囲で情報の見方を考えてみたい。

先日ついに鹿児島でも初めて感染者の存在が確認された。その際に夜中の11時半ごろ県知事が記者会見を行ったのだけれども、KYTがこれをYouTubeで中継していた。中継を見ながらTwitterを見ていると、さながら伝言ゲームのようにあっという間に知事の発表と細部の異なる情報が拡散していくのが確認できた。こういったSNSの類は、あくまで何かがあった、程度の情報をキャッチするぐらいの気持ちで見たほうがいいのかもしれない。

気になる情報をキャッチしたら、次にやるのは一次情報源の発見と裏付けだ。もちろん自分の経験則と知識から、情報の正誤を判断できるにこしたことはない。裏付けは必ずしも成功はしないが、ある程度その情報の信頼度を測ることになる。上の例の場合は、YouTubeで知事の発表動画の録画を自分で見ることで解決できる。

国家レベルでの発表は情報の抽象化の度合いが高く、個人がどう受け止めたらいいのか分かりにくい事もある。そういう時は、国としての状況の説明と、個々の国民への伝達事項を分けて捉えるといい。

情報はウィルスよりも速く、光の速度で届く。それをいかに活かすかで、変わってくるものもある。また、個人のレベルで情報を整理するようになったのも、今の時代ならではだ。これをデメリットにするのではなく、アドバンテージにできるかどうかは、単に我々のメディアリテラシーにかかっている。

長々と書いてみたけれども、これらは全て学院で学んできた事の一つにすぎない。”I want to be intelligent”であり、”Small-minded and misinformed people”にならないこと。この事を心に留めておけば、この難局を乗り切る一つの指針になると切に思う。

COVID-19の影響で長く在宅が続いている方も多いと思う。今号のKONAが少しでも、皆様の助けとなりストレスを和らげてくれればとの願いでお届けいたします。

KONA
RECOMMENDS