iBS外語学院40周年記念実行委員会

緊急企画:「コロナウイルスと生きる」

ありがたい事に、各世帯に「2枚も」マスクが国から配布されるニッポン。緊急的な給付金もいまだに届かず、ダメージを受けている業界にはなにもアクションが起きないアジアの先進国は、本当に大丈夫なのか?KONAの緊急企画で世界中の卒業生に話を聞いてみました。

Text: Gaku “Terry” OBARA

さて、まずは時差の関係からアメリカ・カリフォルニアから36期卒の神野 “Jill” 典子さんにインタビュー。多分、この時間でも起きているはず……。

テリー:あ、もしもし?お元気かしら?カリフォルニアも自宅待機ですよね。最近、何をして過ごされてますか?

ジル:テリーさん、相変わらずのムチャぶりですね。先日から自宅待機になり ました。だからこそ、好きな映画を沢山見ています。一日4本は見れますね。

テリー:そんなに見たら、自宅待機が終わったらおすぎ(映画評論家)になるわよ!あなたがおすぎになったら、私、ピーコ(服飾評論家)になろうかしら?

ジル:……。あ、真面目な話、私、レストラン業界で働いているのでDine in(店内飲食)が禁止されTo Go(持ち帰り)だけになって、仕事が確実に減るんです。収入につながればと手芸を始めました。

テリー:じゃあ、ピーコになるかもしれない……。

ジル:いや、どっちもなりませんから。あとは、みんながみんな大体暇なのでテキストやラインで友達といつも以上にやりとりしてます。普段忙しくて連絡が取れない人ともやりとりするので意外にバケーションのつもりで過ごしてみたらいい感じです。

テリー:確かに時間に余裕ができた感じがしますね。ある意味、これはいい影響だったかもしれない。他に、何か変わったことは?

ジル:コロナウィルスの影響で中国人が銃を大量に購入していたり、アメリカ人もライフルの弾の購入に列を作ったり、家を消毒すると言って民家に押し入り強盗をする連中がいたり。また、旦那が家に一日中いるため、発狂した奥さんが旦那を殺すためにこれからは女性が銃を買う列に増えるだろう、というジョークもささやかれています(笑)。あとはアジア人だからといってコロナだ!と呼ばれたりっていう差別もあったりするそうです。だけど、悪いことばかりではなく逆に地域住民との仲は良くなってるような気がします。お互い協力して生き残ろう、って感じで。

テリー:地域の結束力っていうのは強くなるかもしれないね。生き残る為には一人ではなくみんなで生き残る。同じ国で正反対の事が起きているのもアメリカらしいです。

では、そのまま地球儀を南に向かって、iBS南米支部33期生の吉峯 “Nana” 明子さんに電話してみましょう。

テリー:どうも!何かそちらペルーでは変わったことはありませんか?

ナナ:いま、実は日本に一時帰国中なんですよ。現地からの情報によると、テリーさんの望まれている様な変わった話は無いんです。

テリー:いや、別に面白い話を探しているわけでは……。

ナナ:スーパーの前ではポリシア(警察官)が並んで警備をしています。緊張感は特にないようなんですね。食料品はほぼ日常と同じようにスーパーで売ってます。マスクは手に入らないようです。一時、消毒のジェルは手に入らない状態でした。数日前からスーパーに行くのにマスク着用チェックがあって、マスクなしでは入れないという噂があるようです。

テリー:南米というと金融危機というイメージがありますが、金融関係はどうですか?

ナナ:銀行は営業をしていますが、ほとんど人が来ないので、窓口の人は暇そうです。また、夜間外出禁止令が出た後は、さすがに外出している人はいないようです。大使館政府発表では3月22日12時現在で、11,000人の逮捕者が出ているとか。

テリー:あとは、何か給付金などの話はありますか?

ナナ:生活の変化としては、3月24日から段階的に、低所得者層に2,750,000世帯に対して380ソル(約1万2000円)の一時金が支給されるそうです。 また、農村地域を中心に65歳以上の年金受給者に対する一時金が、同じ様に開始されました。

テリー:360ソルというと、ペルーの平均月収の25%ぐらいですね。それにしても、給付のタイミングは早かったですね。日本はそれにしても遅いです……。

それでは、次はヨーロッパに向かってみましょう。ハンガリーはブタペスト在住の26期卒、iBS東欧支部の明日香 “Claire” フサークさんに電話してみました。

テリー:もしもし、こんばんは。ハンガリーはいかがですか?

クレア:ハンガリーはまだそんなに感染者は出ていませんが、国の指針は他のEU加盟国と同様です。教育機関閉鎖とか、70歳以上外出禁止とか、クラスター回避策も色々と出ています。ハンガリー国籍の者以外入国禁止です。学校ではオンライン授業(主にZoom)が始まっていますね。

テリー:それにしても、小学校でもオンライン授業が始まっているのはすごいですね。授業の内容というのはどういう感じなんですか?

クレア:基本的には先生が自宅から行なっているんですけど、やっぱりメインは出欠確認ですよね。先生も自宅待機なんですけど、それでも学業を疎かにしないという雰囲気がありますね。あとは本当にZoom便利ですよ‼︎もう授業以外にママ友飲み会を夜にやってます、Zoomで。

テリー:アメリカもそうですけど、日本は結局、公立学校の子供達はなにも与えられなかったんですよ、学業の機会が。これは大きな損失ですし、日本のあらたな闇を浮き彫りにしました。しかし、インターネットを使うことによって新しいたのしみも増えている、ってことですね。あとは、何か物流に問題はありませんか?国境封鎖なんかの話も聞こえてきます。

クレア:EMSは普通にとどいてますね。街中へは出かけていないので分からないのですが、一応まだ買えてるようです。ハンガリーはもともと世界で一番インターネットショッピングをする国民なので、みなさん変わらずネット購入です。

テリー:そこに大きな違いがあるよねえ。ネットで買えるんだったら、いまこそ使うべきなのにねえ。しかし、子供の学ぶ権利というのが蔑ろにされないところは流石です。株価の話なんかどうでもいいんですよ、ホント。

終わりに:

評論家の吉田秀和は晩年、「日本人はいつから“想定外”という言葉を使うようになったのか」ということをよく発していました。吉田は東日本大震災で原子力発電所の惨憺たる状況を目の当たりにし、戦後から日本人の精神構造にはびこる「体制順応主義」からの脱却が日本人は出来ていなかったということを悔やみつつこの世を去って行きました。

もう少しわかりやすく書くと、吉田は想定外という言葉を耳にするたびに「日本人にはまだ自分で考える力が備わっていなかった」という現実を目の当たりにしたのです。

コロナウイルスに対する日本国の対応は、明らかに劣っています。株価やオリンピックのことが優先され、人々の命はぞんざいに扱われてしまいました。永田町の人々は「想定外だ」と軽々しく言うでしょう。しかし、それでは困る訳です。

この2ヶ月で世界は大きく変わりました。そしてこれからも大きな変化と試練に私たちは立ち向かわなければならなくなってくるでしょう。不運にも職を失ったり、または愛する人を失うことも出てくるでしょう。その時に、どう向き合うべきなのでしょうか。人は時に、自分の無力さを感じます。しかしどうか間違えないでいただきたいのです。私たちは微力であり、けっして無力ではないのです。

困った時には、お互い様。

とてもいい言葉だと思います。iBS外語学院の卒業生という縁(腐れ縁、とも言う)です、何か困っていることや助けが必要な場合は編集部へメールをいただければと思います。KONAがみなさんのお役に立てるよう、微力ながら努力する所存です。

先ずは、皆様の心と体の健康を祈念しつつ。

KONA
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