iBS外語学院40周年記念実行委員会

インタビュー「オンナはカワル」― Izumi Woods

なんだか、いまいちイケてないニッポン。しかし、なぜかオンナは元気だ。ミッド・エイジ・クライシス(中年の危機)に立ち向かうべく40代の編集委員が元気に変わり続ける卒業生のイズミ・ウッズに話を聞いてみた。“イズミさん、どうしてそんなに変わるんですか?”

「事務職より、水商売」

―――――― いきなりですけど、どこから話を聞いたらいいのかわからないです。(笑)高校卒業ぐらいから始めていいですか?

高校卒業して、事務職としてキャリアをスタートしたんですけど、ある時、スナックを経営している女性の方に会ったんですね。そしたら、すごく惹かれてしまって。で、当時事務職だった私は、どこかで水商売の方を少し卑下してるところがあったんですね。だけど、もう興味を持ったら止まらなくって始めちゃったんです、天文館で。(笑)もちろん、最初は飲食業を営む母には内緒にしてたんですよ。だけど、あるとき詰められちゃって。だけど、「お母さんの商売もお手伝いできるかもしれないから」ってことで、結局6年間お仕事しました。その時から、やっぱり自分は興味に突き動かされる人生なんだ、って少し感じてたかも。

―――――― かなりエンジョイされていた感じがします。

(人が好きなので)間違いなく、「水を得た魚」のようでした。

「最初の結婚、最初の離婚」

―――――― 鹿児島で6年間を過ごして、ご結婚されています。大阪では何をされていたんですか?

旦那さんは自営業で、仕事に大きなプライオリティーがある人でした。「しっかり旦那さんをサポートするいい奥さんであろう」と結構がんばってみたんですが、専業主婦をしているより仕事をしている方が性にあっていると思ったんですよ。そこで、補整下着の会社で働くことにしたんです。仕事をしていると「私は人が輝き始める瞬間を見るのが好きだ」と気づいたんです。

興味があることに没頭してしまう自分と、「せっかく縁あって結婚したんだから」という義務感からいい奥さんであろうとする自分のギャップが広がっていきました。

26歳の若気の至りで相手の事はおろか、自分の価値観も精査しないまま結婚してしまったから、互いの価値観が根本的に違うことを誤魔化したり、見ないようにしながら結婚生活を続けようたんですけどね。結局、それを続けることは、お互いの幸せな人生に繋がらないと思って離婚しました。

「ハワイでの11か月」

―――――― なんだか、決断力がすごい。私も離婚を経験しましたけど、離婚って人生の通過点というか振り返り地点なのかな、という気がします。だけど、そのあとになぜかハワイへ行かれていますね。

オバラさんも離婚を経験されているとお伺いしましたけど、人生の中で結婚と同様に離婚も結構大きなターニングポイントなんです。なので、高校生の頃から興味のあった「海外で生活してみたい」ってことを実現してみようと思ったんです。もっと言うと、自分の長年の夢を叶えてあげたかった。離婚からハワイ留学を自力で叶えて得たものは「夢を叶えることが出来た自分を作れた」ことかな。「挑戦という変化」に対してポジティブに捉えられるようになったかも。質素ながら日本の生活とは全く違う毎日を過ごすハワイでの11か月は、人生のリトリートのようで、「自分の選択で現実を作れること」を実感する毎日でしたね。

「知らない事を、知ってしまった」

―――――― ハワイから帰ってきて、iBSに入学されています。キッカケはなんですか?

ハワイから帰ってきて、色々と考えたんですけど「可能性」に目覚めちゃったんです。つまり、自分はまだ何かできる「可能性」があるって事に気が付いたんです。11ヶ月間ハワイに住んだんですけど、現地の学校で英語とか学んでると17歳ぐらいの子が平気で政治のこととか喋ってるんです。私、かなりショックでしたね。当時30代の前半でしたけど、いかに自分が日本の事を知らな過ぎるか、身をもって体験したんです。

離婚を経験して自由になって、憧れの海外生活を始めてみたけど行ったらなんだか自分の不勉強を思い知らされてしまった、という結果になってしまった。もちろん、ハワイでの生活は楽しみました。だけど、結果的に知らないことをさらに増やして帰ってきたんです。「知らない」という事を知って、それが、自分の可能性に思えたんです。その時にiBSの卒業生スピーチをみたんですね。日本の文化を英語で学んで、卒業する1年後に立派に発表している。これは、スゴイ、と。で、入学したんですね。

―――――― とはいうものの、この時点で30代です。経済的な自由と精神的な自由、これを天秤にかけると……

それは、精神的な自由が重かった。これは今もそうですけど。自分の可能性をiBSに入学してさらに広げてみたかったんです。当たり前ですがハワイに行くまで私の常識は日本のもので構成されていたんです。だけど、ハワイで暮らしてその常識に幅がでてきたんですから。例えば、ハワイで有給休暇で旦那さんを連れて一ヶ月滞在しているブラジル人に会ったんですね、もうそんなことって日本じゃ考えられない。これは私にとっては大きかった。「暮らす場所を変えれば、違う常識で生きることもできる」ってことなんだって。それだけじゃなくって、色々な経験をする事によって自分の可能性の広がりが見えてきちゃった。自分の可能性に目をつぶることはできなかったですね。

――― ある意味、その年齢になって自分の可能性を発見したってハッピーですよね。

そう、本当にそう。まだまだ巻き返せる!みたいなね。(笑)

iBSを卒業して、そのあとオーストラリアの方と結婚したんですね。何も苦労することなくパースで暮らす事になりました。3年も経って生活が落ち着いてくると、なんだか自分の中でまた色々としたくなってきちゃった。新しいことをやってみたくなって、パースで着物を楽しむクラブを始めたんです、そう日本の着物ですね。

これが楽しくてハマりました!着物クラブを運営することから、ビジネスのイメージをもっとクリアにできるようになって。それで、イメージコンサルタントの資格をとり、下着会社で働いていた時の知識を用いて、女性の下着に特化したセミナーとコンサルテーションを看板メニューに据え、ビジネスを立ち上げました。

―――――― つまり、また自分の可能性が見えてきて、起業されたんですね。

だけど、なかなか大変でした。何が大変かって、また家庭と仕事の両立が大変だったんです。オーストラリア人の旦那さんはすごく私の仕事にも理解を示してくれて、サポートもいっぱいしてくれたんです。だけど、日本に出張で来て新幹線に乗っているとふと彼のことが気になる。あ、そろそろオーストラリアに帰らないと、って。今度の結婚は本当に上手に続くように、家庭を優先しようと思ったんだけど……

―――――― やっぱり、興味の湧く方向にステアしちゃった。

ワーク・ライフ・バランスって言葉あるじゃないですか? あれ、私の性格では本当に難しい。最近、オーストラリア人の彼と離婚したんですけど、やっぱり私は自由に自分の可能性を極めたいんだな、って。本当に、彼には申し訳ないけど自分を優先したかったんです。こんな事いうと、ただのワガママなオンナだと思われるかもしれないですけど。(笑)

―――――― 私が「女性自身」の記者だったら、悪意のある記事を書いてます。(笑)だけど、ここでも自分の可能性のほうが安定した生活よりも天秤にかけると「重かった」わけですよね。なんだか、ある意味すごく「欲深い」です。

そう、そうかもしれません。だから、結婚は2回もしたからいい、っていう気になってます。(笑)だけど、私にとって自分を結婚という枠に自分の可能性を嵌めたくなかったし、自分に嘘をつくのも嫌だったんです。今となって分かることもあるし、結果的に自由が足りないとダメなんだ、私、っていう。 2度の結婚を含めたいろんな経験から、自分は変化する事によって生きていることを感じる性質なのかもしれないって思っています。

―――――― 「変化する」って言葉に凄く抵抗を感じる人が多いかもしれません。最近、マイルドヤンキーって言葉があるんですよ。自分の生まれ育った街で家庭を持って、友人づきあいも昔から同じ、ついでにお買い物も同じ地域で。「現状に満足している」という新しい意思の現れだと思うんです。だけど、ブレーズ・パスカルのいう「人間は考える葦である」という観点からすると、人類の進化を感じないんです。今日より明日は良くあるべきだし、良くするべきだという人間本来の努力の必要性を微塵も感じない。

私、最近よくいうんですけど「若いうちに海外で暮らしてみなさい」って。日本という枠組みを外れたところから物事を見直すと、心が楽になる。だって、自分の可能性が本当に広がるし変われる気がすると思うんです。離婚してもパースに住み続けるのは、空が広いんですよ、パースって。私はあの空だけでもパースに住んでいる甲斐があると思うんですね。それに何よりも、パースの人達は自分の時間を持つことへの価値をしっかり持ってる。『社畜』なんて言葉は、パースの人の辞書にはありません。私はその価値観で生きたいと思うんです。それを選びました。さっきの「知らないことを知ってしまった」って事に話をもどしますけど、その知ってしまったことを実行するか、しないかは自分自身の選択なんですよ。私は選択の結果、自由に幸せに暮らしていけているのかな、という。結果論ですけどね。

だけど、私が言いたいのは自分の欲に正直に生きてみたら?ってことです。自分の人生だからこうしたいんだ、って思ったらそれを実行してほしい。だけど、その人生をどう生きるかという「選択」は常に自分に迫ってくるんですね。その選択をする時に「経験から得た事」は役立つんです。その幅を増やすのに海外を見る、海外で生活するということは大いに役立つんじゃないかな。

Izumi Woods : 34期卒

オーストラリア・パース在住
1973年生まれ オーストラリアを拠点に女性の魅力を可視化するイメージコンサルタントを主宰。http://izumiwoods.com/

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